※2004年6月28日023号

お前は保険屋に向いてない!

 
     
北海道に住んでいる大学時代の親友Kから、車で外出中の私のケータイに電話が入りました。
 「今、品川のPホテルにいるんだけど、時間があったら来いよ!」というのです。
 夫人に付き合わされての急遽の上京で、夫人も大学時代の友人に逢いに行っており
Kはホテルに取り残されて時間を持て余しているようなのです。

Kとの出会いは、入学したての1年の時ですから40年近くも前です…
空手の推薦入学で北海道から出てきたばかりのバンカラを絵に書いたような風体でした。
そのKが私に「俺がおごるから、しるこ屋に付き合ってくれ!」と言ったのが始まりです。
 キャンパスがある茗荷谷(文京区)には跡見や御茶ノ水といった女子大もあり、
駅前のお店は拓大生用と女子大生用とテリトリーがはっきり分かれていたのです。
もちろん『しるこ屋』は女子大のテリトリーです…そこへ一緒に乗り込んでくれ、というのです。
女子大生の冷ややかな視線を浴びながら、しるこを3杯たいらげたKの姿が懐かしく思い出されます。

そのKがまた「俺がおごるから、夕食に付き合ってくれ!」というのです。
 品川Pは食べ放題のビュフェ・レストランが有名です。
ウェエーターはプラス1800円で飲み放題だというのですが、車で来てる手前飲むわけにいきません。
Kとは学生時代どれだけ酒を飲んで議論を交わしたか判らないほどの仲です。
久しぶりに会って話は弾むのですが、何か?足りません。
「ホテルに泊まれヨ」とKは言いだしました…「そんな金あるわけないだろ、厳しい生活をしてるんだから」
と言うとKはいきなり3万円を渡し、コレで明日チェックアウトしろと言うのです。
そんなにいらない、そっちで一緒にチェックアウトしてくれと、と私が言うとKは
「バカ!お前は俺の親友だぞ、 俺の嫁さんがどう思うか考えろ!」というのです。
「でも3万はいらない」という私に「競馬ですったと思えば安いもんだ!」と 彼の言葉に納得?する事にしました。
Kから私のコワイYUKIに電話を入れてもらい、晴れて!メニューを飲み方だいに切り替えたのであります。

二人が酩酊していった時にKは突然私に言いました。
「お前に保険屋は向いていない!」
「いや最近は保険屋が天職と思えるようになってきた」と言うわたしに…
「お前が何と言おうと絶対に保険屋に向いてない !」と頑固なのです。
その理由を聞くと「じゃー儲かってるのか?」と痛いところを突いてくるのです。
「まだ新聞配達をやっているのか?」と10年ほど前の話も持ち出してくるのです。
「そんなに儲からないけど、インターネットを使ってボクの営業スタイルも確立してきたし…
もう昔の保険屋の時代は終ったんだよ」
「何がインターネットだ、何がボクのスタイルだ、お前は才能があるんだから…」かなりの 悪酔いです。

ビュフェがクローズに近づいてきた頃に、帰ってきた夫人にKは聞きました。
「角倉は保険屋に向いてると思うか?」
夫人はきっぱりと答えました「ぜんぜん向いてないわよ、どうしたの?」

保険屋に向いてない私が喰えるようになれば、この国の保険(特に生命保険)も大きく変わるんだけど…
心の中でボヤキながらも、ひさびさの楽しい痛飲でありました。

翌朝のホテルロビーのカウンターでK夫妻と並んで堂々?とチェックアウトを済ませ
1万円数千円が私のヘソクリとなったわけですが…。
ここまで書いて「ヤバイ!」と思いました、K夫人がコレをよんだら!
でも、たしか二人共インターネット には興味が無いと言ってたから、多分大丈夫でしょう。
で・でもYUKIは!! ああ〜私のヘソクリが…