※2008年05月12日225号

ゼン君のお芝居

ゼン君のママがちょうど1年前に亡くなった事や…
ゼン君のパパの事はココでも触れてきましたが…
ゼン君自身の事にはあまり触れるチャンスがありませんでした。

ゼン君はヒロコと保育園時代6年間を一緒に過ごした同期ですから…
ヒロコと同い年の26歳です。
したがってゼン君は立派な社会人なのですが
どうしても私やYUKIからは保育園時代のゼン君の印象が強く
いつまでも【ゼン君】なのです(^_^;)

保育園時代のゼン君の印象で強く残っているのは
学芸会で『金のガチョウ』のお芝居で”金のガチョウ”を演じたことです。
ちょっと余談になりますが…私も学生時代にスペイン語劇で
『オジャンタイ』というお芝居の”オジャンタイ”を演じました。
この時は一応、主演ということでしたが題名が主役とは限らない場合があります。
『金のガチョウ』は主役はキコリで”金のガチョウ”はセリフもほとんどありません。
しかし重要な役である事は変わりません。

私がその時に撮影したビデオが残っているのですが、
主役のキコリがオノで木を倒すと突然、残った木の下から
金のガチョウ役のゼン君が「ガー!」と羽をバタつかせ立ち上がるだけなのですが、
とてもインパクトがあって、みんな大笑いをさせました。

ちなみにヒロコはこのお芝居で、金のガチョウにくっついていく村人役の一人でした。
ヒロコは小学生ぐらいまでは、今ではとても考えられないほどシャイでオトナシイ子供で
ヒロコの短いセリフに「ヒロコちゃん!聞こえないよ!」という野次がビデオに入っています。

そんなヒロコも今では”コワイモノ知らず”の無法者?ですから判らないものです(^_^;)
そしてゼン君は何とプロの役者を目指しているのです。

9日の金曜日YUKIと二人で
乃木坂にある小さなライブハウスに出かけました。
出演者は面接官と3人の就職希望者の計4人が面接会場で入り乱れて
人間模様をくり広げそれぞれの内面を見つめ直すという力作です。

ゼン君の役は就職希望者の一人で現在フリーターの若者。
セリフの中に亡くなった母親を回想し
「母はヒマワリのように明るい人でした、弟が生まれると…」と
ゼン君そのものを表現したところがあって思わず涙が出てきました。

シナリオは劇団を主宰者のお嬢さんで、ゼン君と同じく昨年11月に母親を亡くし
呆然としていたのだが劇団運営を熱心に応援していた母親が天国からハッパをかけられ(^_^;)
3月にシナリオを書き上げ急遽、公演にこぎつけたというもの。
3日間の連続公演の初日です。

小さな舞台を囲むお客様の数は満席で60名ほど、
ドリンク付きで3000円のチケットですから、全員が有料入場者としても18万円、
3日間満席でも総売上54万円です
入り口ではゼン君と違って秀才の誉れが高くイケメンでクールな弟エイ君(^_^;)が
モギリのボランティアをしていました。

ゼン君はプロの役者を目指していても今はサラリーマン。
一時は役者の道をあきらめた時もあったようですが、ゼン君の両親はともかく
私は「あきらめるな!」と勝手言ってきました(^_^;)

正直言ってゼン君がプロとして食べていくのは、とても厳しいかもしれません。
4人の出演者の中でも演技力が上手いというところまでは行っていません。
でも10年ほど前に研修生で芝居漬けになっている頃よりはかなり上達しています。
なにより意外だったのはダンスの身体の動きがとても自然で上達しているのです。
それは普段から意識していなければ出来ないことです。
ゼン君の舞台挨拶にも熱いものを感じました。

何でも良いから好きな事は、たとえそれで食えなくても、やり続ける事だと思います。
一度しかない人生なのですから。
ゼン君は歳をとってから良い味が出せる役者になるような気がします。
多分。(^_^;)