たk1めーる
※2009年06月01日280号

とこや一休

溜池の交差点から赤坂方面に少し歩くと永田町法曹ビルという建物があります。
ここの1階で今は居酒屋の【庄や】とカレーの【CoCo壱番館】になっているところに
今から30年ほど前【MEDOR】という洋菓子&レストランがありました。

このお店の開店から閉店までの話しは、書き出すと終らないので今回はしません。
因みに先週も登場したエノちゃんはココでパティシエとして働いていました。
今でも大変、懇意させて頂だいている弁護士の菅原先生との縁は
弁護士事務所が集まったこのビルが取り持ってくれたといえます。

このビルの地下一階に『とこや一休』という
今でも営業を続けているお店があります。
もちろん床屋さんです(^_^;)
私はこの床屋に行くようになってから約30年…
今でもこの床屋さん以外で散発した事は一度もありません。
床屋というのは恐ろしいところで、よその床屋で浮気しようものなら直ぐにバレてしまうのです(^_^;)
ま〜そんな脅迫?もあって、このお店とは長い腐れ縁イヤ長いお付き合いになって
散髪してもらうほどの髪も無くなってきた今は
マスターと数ヶ月に一度、世間話をするのが楽しみで出かけるのです。

現在は奥様と二人でマイペースやっている『とこや一休』も
30年前はマスターの他に理髪師が2名いてけっこう繁盛していました。
私も【MEDOR】がオープンした当初はゆっくり休む時間も無く
時間が出来ると緊急避難場所として洗髪を兼ねて一休で文字通り”ひとやすみ”していました。
でも、やがて一休にいくのが2ヶ月に1回になり、
それが今では3ヶ月に一回すなわち年4回のペースが固定されてしまいましたが
ここでは時間が止まっていて、30年前の話でもつい最近の話しになってしまいます(^_^;)

当時は無かった地下鉄銀座線の【溜池山王駅】が出来たものの
…いや、それによって地下道が出来て人の流れがすっかり変ってしまい
新規のお客様はほとんど来なくなってしまいました(^_^;)

お客様の多くは私のように昔からの常連ばかりで
近くにあった東芝EMIの名プロデューサーだったXさんなど
私の店でも馴染みだった人達がわざわざ遠くからやってくる高齢者ばかりで
私なんて若いほうです。

デジカメで写真を撮ると最初は何の事か判らなかったマスターも @ A B
あらためてカメラを向けるというとムチャクチャに照れて顔を隠すのです(^_^;) @ A B
こんな可愛いところがあったとは30年来の付き合いで初めてしりました。

少し以前の話になりますが…
このビルの有料駐車場にクルマを入れると管理人が行く先を訊ねるのですが、
私が「地下の床屋に行く」というと、不思議そうな顔をして管理人は
「あの床屋さんは何か特別なことをやっているのですか?」とまた聞くのです。
私の方が驚いて「なんで?普通の床屋だけど、どうして」と訊ねかえしたら
「いやーけっこう多くの人が床屋に行くといってクルマを預けるのでね…
わざわざクルマでココまでやってきて高い駐車料金を払ってまで行く床屋ってスゴイですよね」
と関心しているのです(^_^;)

少し前までは必ず予約して行っていたスゴイ床屋も、
最近では近くからケータイで「今行って大丈夫?」と訊ねて大丈夫じゃなかった事はまったくなく
スゴイ床屋から、ちょっとだけスゴイ床屋になってしまいましが
私にとっては、とても居心地の良い床屋であることには間違いありません。 

ビルの裏側の首相官邸や旧ヒルトン・ホテル(当時)に通じる道は
すっかっり景色が変ってしまいましたが
まったく景色の変らない「とこや一休」はいつまでも元気で続いて欲しいと願っています。@ A B